月間平均約50000匹ものエビルを谷底へと喰らう禍々しい山道、『魔ヶ峠』。
検証派デーモン氏の脳の皺さながらにのたうつこの道は総全長44444キロメートル。誰が作ったのかも分からず、何処と何処を繋いでいるのかも不明な謎の道となっています。

またこの時期の魔ヶ峠は常に丑六六六つ時よりも深い闇に包まれており、木々は妖しく蠢き、底無しの泥濘は血を湛えて佇み、霧の中では逝路を見失った死霊たちが同道者を求めて腕を伸ばしています。

そんな魔界でも指折りにホットでクールな場所には当然死に場所を求めるエビルが群がるもので、昨晩は『魔ヶ峠全速力駆け下り大会』なる催しが開かれました。

この催しはその名の通り、山を頂上から駆け下り、誰が最も速く麓まで辿り着けるかを競うものです。
今回集まった無謀なスリル中毒たちはおよそ666666匹。レース開始の銅鑼と共に一斉、意気揚々と駆け出しましたが程なくして全員が滑落、落石、呪死、衝突などでそれぞれ美しい最期の華を咲かせているのが確認されました。

まさに命を何とも思わぬ、血と悪意と敵意と殺意で塗り固められた地獄への一本道。大会から一晩経った今でも、現地では無数の命乞いと断末魔が残響となって空を震わせているそうです。
魔大陸