狒々枯らし吹きすさぶ呪滅を迎えたこの時季、食卓の主役といえば焼き禍芋である。

禍芋は下級魔族にとっては身近な食材だが、腕の立つシェフデビルの手にかかればたちまち高度な殺傷食と化す。666ツ星レストラン、『誅罰』にて供される石焼禍芋などはその最たる例と言えるだろう。

常軌を逸した温度の釜で熱されることで悶え苦しんだ禍芋は異常な甘味と熱を含み、食者に尋常ならざる傷をもたらす。

故にこの石焼禍芋を求める若魔は後を絶たず、『誅罰』の軒先は乱闘絶えぬ憩いの場となっている。

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