肝試しとは自身もしくは他者の肝臓を恫喝し、試練を与えることで変化を促す行為である。
「低級魔族を診察して、肝臓があったら赤飯を炊け」と言われるほど日常に根差している肝試しだが、実は来月999月は魔界で最も肝試しの行われる月なのだ。
もちろん恫喝は年中行うことが可能なのだが、なぜか999月は肝試しの試行数が急激に上昇すると言われており、魔統計上もそれを裏付けるデータが存在する。

しかし、自身の肝臓を変化させることは、一般的には知られていないものの、魔医学的な現地から非常に危険な行為であるという。
ある魔族は自身の肝臓に対して殴る蹴るの暴行を働いたところ、肝臓が市役所となり、市民を養うことになったそうだ。
自身の肝臓が「非常に感服しております。市民の皆様をお守りすることが、私の責務であると感じております」と表明しながら会釈を繰り返す公務機械になったショックから、その悪魔は静かに涙を流し、すぐさま自身の心臓を恫喝して裁判所に至らしめ、自害したとのことだ。

獄夏極まる999月、殺人指数999を超える屋外だけでなく、自身の臓腑にも気をつけて過ごしたいものだ。

マグマ
(酷暑)