“冬の代行者”を名乗る氷魔人の軍勢が各大陸を襲撃するなど、遂に季節が形を成して脅威となり始めた今年の轟冬。 魔界を包む寒気は昨年から一層強さを増しており、溶岩一気飲みや春の到来を懇願する儀式、自らの頬に「頑張ろう」と書く行為など、各地では様々な寒さ対策が取られています。 特に乾いた布などで悪魔の全身を激しく擦り熱を産む行為「乾布魔殺」は個人でも手軽に暖を取れる手段として用いられており、街では低級中級問わず多くの悪魔が越冬に耐え忍ぶ光景が楽しめます。 しかし、過剰な乾布魔殺を行うことで死亡する悪魔の事例が魔界各地で相次いで発生しています。 今もなお死者は増え続けているとのことで、布で全身を全て擦り減らして消滅する、発生した摩擦熱に身体が耐えきれず蒸発するなどにより、本日までに666666666666体が死亡しているとのことです。 魔報道番組「鬼の嘘」のコメンテーターを勤める出門 怒門氏は番組内でこの事例に触れ、「いくら寒いからって、そんな消しゴムみてぇな死に方せんでもね」などと苦言を呈しており、番組の放送が終了した今も尚、乾布魔殺に苦言を呈し続けています。


汎用悪魔
長時間の乾布魔殺に耐え、鮮やかな火を纏う上級悪魔のヒート・デモン氏。
乾布魔殺で発生した熱により、局所的に魔夏が訪れている地域も報告されている。