殺戮に何を求めるかはデーモンそれぞれであり、そこに優劣などは存在しない。
というのは一般的な魔界の常識ですが、それはそれとして思想ごとの対立は常に発生します。
浪漫派と脊髄派の対立は、その最たる所と言えるでしょう。

比較的近年に生まれ、その名の通り殺戮に様々な浪漫を求める浪漫派と、魔界創生の時から存在する、ただただ衝動に従って殺戮を行う脊髄派。
両勢力間の対立は今や魔政府関係者や魔界警察内部にすら浸透しており、現魔界において特に期待される火種の一つとなっています。

「ただ殺すだけならエビルデスミドリムシにすら出来る。我々高等な悪魔は、より高尚な意義を殺戮に見出すべきだ」
「エビルデスミドリムシにすら出来るという事は、殺戮は全ての魔界の民に遍く与えられた、最も尊ぶべき恵みだ。だからこそ、余計な味付けなどはせずにありのままの殺しを堪能すべきである」

決して相容れない両者の巻き起こす戦争は、現時点でも既に魔界全土を分断するほどまでに深刻化しており、最早どちらかの陣営が消滅するまで終わらない見通しと思われていました。

しかし、6日前、この状況に変化が生まれました。

エビルデスミドリムシです。

エビルデスミドリムシらは両勢力の対立を察知し、「御意」として急速に進化したのち武力介入を開始。

完全に名前で侮っていた悪魔らのうち99.9999999%と相打ちに持ち込むという快挙を成し遂げた為、『超エビルデスミドリムシ』という二つ名が付けられました。 

殺戮